修理の依頼

京都桃玄

2015年10月24日 17:07

この前連絡があり「修理をお願いします」とのコト
届いた箱を開けお人形を見てみました
懐かしい人形です
多分ですが15、6年前のものだと思います
本金の凄く高価な生地なので覚えてます

箱の中にお手紙が入ってました
修理というより型崩れの修復です
確かに少しくたびれた感じはします
目についたのが殿様の袖が開いてます
お姫様の表衣衿部分の開きです
双方共通で左腕部分の凹
多分ですがお人形を持つ時に親指が当り出来た凹みかと



先ず左腕付け根辺りの「くぼみ」の修復です
写真だと分りにくいと思いますが
少し凹んでます





修理の時は頭を取り外します
作業の時に傷つく可能性がありますので



凹みのある腕を少し伸ばします



そして唐衣と表衣の間に目打ちを通し
綿を入れる為の隙間を作ります



年数の経って付いた形はナカナカ修復が難しいです
綿の量や詰める位置などの見極めが必要です



綿を入れて腕をまた元の位置になるよう折り曲げます



そして扇を持つかを確認します



次に裾部分です





引き腰の五色の糸も解けてます
これは修復は不可能です
糊でまとめる程度しか、、、

綺麗にするには交換という手もありますが
このホツレもそのお客様の歴史でもあると思いますので
可能な範囲での修復といたします



スチームやアイロンでシワを伸ばします



五色の糸も糊でまとめました



裾部分の修復完了



お姫様の衿部分のズレ
これはちょっと難儀です
ど、どうしよう、、、



これは強引かつ大胆な手法をとるしかありません
衿を一度剥がしてラジペンで引っ張り
有るべき所に生地を寄せます



正直一か八かの賭けです
凄く集中していましたので
途中過程の写真を撮り忘れてました
仕上がりです↓
何とか修復できました
多分これが限度です
これ以上触ると生地が傷むかも?です



次はお殿様です
これも写真↓では見にくいとおもいます
お姫様同様に左腕付け根部分の凹みです



これもお姫様と同様に腕を少し伸ばします



目打ちで綿を入れる為の隙間を確保します





次に綿を凹んだ所に入れます





次に袖です
内側の凹みで厚みが無くなった袖後ろ部分を
修復していきます



目打ちやピンセットを使って凹んだ箇所を
元の形にしスチームを使ってクセを付けていきます



袖の前部分下の凹みと袖口です



理想の形に近づけ幾度もスチームを当てクセを付けます
長年かけて付いたクセを戻すには凄く時間がかかります
このお殿さまは一日での修復は無理と判断
スチームで湿気た衣装を完全に乾かしてから
また作業に戻ります



次は居の部分です



この部分もスチームとアイロンで
シワを伸ばそうと思います
先ず魚帯を外します





チスームをかけアイロンでシワを伸ばしました



長い間この状態だったのでしょう
数分で元の状態になります
芯を作るしかないです
居の幅にピッタリな物を発見!
丸めます



数日このままにしても又ペタンコの状態に
もどると思うので芯を入れたまま発送しようと思います
芯を外すか否かはお客様の判断にお任せといたします



数日後に作業を再開したのですが、、、
長年のクセというものはナカナカ頑固です
幾度かスチームとドライヤーを駆使したのですが
やっぱ少し袖口が開くぅ、、、



どうしよう?
思いついたのが袖を固定する事です
上手いこといくかなぁ?
ラップで固定してみました





袖のラップも付けたまま発送ですね
御雛祭りまで形付けをしてもらった方が良いですね
きっと




関連記事